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9月の読書まとめ/ベスト1は、盤上の向日葵

9月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3817
ナイス数:232

旧友再会旧友再会感想
シゲマツ節が帰ってきた!。子供時代を昭和で過ごした、50代の私たち。親も老いて自分の身の振り方も考える世代に、ジャストミートです。短編4編(うち1編は過去のアンソロジー本に収録)、中編1編。少しずつ読めるし、どこかに昔の自分がいるような話たち。なかでも『どしゃぶり』。中学の野球部は弱小ゆえに、部員で話し合ってみんなが出場できるように交代制の、かつリーグ戦。そういえば今の子供事情は、「みんなで並んで一等賞」っていう運動会って聞いたことあったっけ。監督の怪我で来た臨時コーチの方針は、私は賛成。おススメ作品。
読了日:09月01日 著者:重松 清
趣味で腹いっぱい趣味で腹いっぱい感想
初読。人を介して出会った男女が、夫婦になって家庭を作る。二人だけの生活に「趣味」が加わる。最初はちょっと作風に慣れずに眠かったけど。気がついたら読み終わってました。「趣味を生活の糧にする」って難しいけど、お互いの趣味が交差して、成長していく展開が面白いです。夫婦の絆を深めた感じ。「家庭菜園で種を蒔き育てるのは、子供と似ているかなあ」「趣味って悲しい出来事があった時に、役に立つ。癒されることがある」「社会を回しているのは仕事だけじゃない。趣味人だって」。なるほどね。共通の趣味がなくてもいいんだよね。
読了日:09月06日 著者:山崎ナオコーラ
希望荘希望荘感想
実は宮部さんの著書、分厚くて&難しそうで。ちょっと避けていた自分に、空手チョップ!。1作めを読んだのははるか昔。なのでいきなり4作め読むのは・・・無謀じゃなかった。中編4作の中で、過去の話が織り交ぜて出てくるのがいいじゃないですか。主人公・杉村三郎の、調査対象者や依頼者に寄り添う姿。警察物ではない展開が新鮮。だけどそれぞれの出来事がパズルのように、カチッとはまっていく様。サスペンスというよりは、謎解きって感じ。「端からボロボロ崩れ、人としての輪郭を失っていく」。随所に唸るフレーズも多々。面白かったです。
読了日:09月09日 著者:宮部 みゆき
ひとひと感想
天涯孤独になった主人公・聖輔が、毎日こつこつ生きるために働き。その過程で出会った人たちと、少しずつ距離を縮めながら過ごす1年を、季節の移り変わりで区切って進む話。会話が中心で淡々とした内容だけど、応援したくなる親世代だからか。引き込まれました。随所にシンプルでキラッと光る言葉もあって、好感度大。「レンジで温めたものはできたてとは言わない。本物のできたては、熱いのだ」。「人と握手するって、温かい。久しぶりに思い出した」。温かさを感じれるって、いいよね。「聖輔、いつだって頼っていいだぞ」。そう、みんな見てる。
読了日:09月11日 著者:小野寺 史宜
山手線謎日和 (ハルキ文庫)山手線謎日和 (ハルキ文庫)感想
いわゆる鉄道小説には分類される気はするけど。「経理の森若さん」が出版社の営業になった感じかなあ。キャラ的に。地方に住んでいるので、東京環内の鉄道ネタはわからないなりに、少々の謎解きもあって興味深かったです。ちょっと新しい分野小説。山手線にも駅そばが各所あるのね。うー食べたい!。
読了日:09月16日 著者:知野みさき
完全無罪 (講談社文庫)完全無罪 (講談社文庫)感想
かつて巻き込まれた事件の“犯人”と裁かれた平山を、再審で無罪にする案件を請け負った弁護士・千紗。なのに冒頭から『私はあなたを助けに来たわけじゃない』。ええー、弁護士なのに?!。その設定が興味深い。千紗の視線と事件の担当だった元刑事の視線。交互に書かれていて、ぐいぐい引っ張られました。千紗が過去のトラウマに苦しみながらも、事件の真相を調べていくのがスリリング。真犯人は誰なのかそれとも、やっぱり平山が犯人なのか。最後の最後までわからない、そして「えーー!」と最後も驚かされた良作でした。
読了日:09月18日 著者:大門 剛明
ブロードキャストブロードキャスト感想
「黒」でも「白」でもない、湊作品。サクサク読めてあっという間。陸上部(少し)物は読んだことあるけど、放送部(ほぼこれ)小説って、初めてかも。私の同級生が長く高校の放送部顧問をしているので、なるほどなーって。それとラジオをよく聞くのでその辺も、さらっと読めたのかな。声って生まれ持った物だから、「惚れる声」の持ち主って、それだけで才能だよね。最後は最初の話をうまく持ってきてまとまってました。ただ湊さんが書く作品じゃないかなあ。
読了日:09月21日 著者:湊 かなえ
さよならドビュッシーさよならドビュッシー感想
このミス大賞作品っていうのは知ってたけど。タイトル的にクラッシックの話なら、わからんだろうなあ・・・。と思って未読だった自分に喝!。家事で家族を亡くし、自分も重傷を負ったピアニストの卵。そこに事件性はあるのか?。よくある設定だけど。主人公が執刀医や、元司法修習生でピアノ講師・岬の助言のもと、成長する話が引き込まれました。終盤のピアノコンクール向けての箇所は、ピアノ用語も気にならずサクッと読めるのがいい。置いてけぼり感なし。そうかー、そうなのねー。と思って読み終える直前の衝撃。ヤラレタ!。おススメ。
読了日:09月23日 著者:中山 七里
政治的に正しい警察小説 (小学館文庫)政治的に正しい警察小説 (小学館文庫)感想
初読。タイトルと表紙から、すっかり「警察小説」かと思いきや。違いますやん!。冒頭作は親の子への暴力的話から始まるので、なんだかなあ・・・と思ったらその結末にびっくり。6作の短編集ほぼどれもが「起、承、転!!、結!!!」と、読み手が作者に踊らされちゃった感満載の展開に、引き込まれました。中でも『リビング・ウィル』。事故で昏睡状態になった祖父の、延命措置をどうするかの話。リビング・ウィル=生前の意思がないまま、さて。家族の話だけならよくあるけど、祖父の脳内意識にもスポットを当てていたのが興味深かったです。
読了日:09月25日 著者:葉真中 顕
青春、手遅れ青春、手遅れ感想
お金を払っても買えないもの。それが過去。青春と言われる10代に「出来なかったこと」。同世代女子(←この単語が既に年齢に追いついていない)のうなづき多数。「ソーイングセット」は結局教室で男子相手に使うこともなく、先日総じて3セット位出てきたし。「ビックマック」は今では食べたらきっと胃もたれするし。「手作り巾着袋」も「巾着」ってもう言葉自体聞かないし。「あぶらとり紙」も今何処。油分が足りない今日この頃。でもこうやって振り返れる過去の積み重ねで、今の自分があるんだな。気持ちは年齢に追いついてないけどね。
読了日:09月27日 著者:益田 ミリ
ベリーベリーグッド: レターエッセイ集ベリーベリーグッド: レターエッセイ集感想
時々無性に、松浦さんのエッセイが読みたくなる。そんな時は多分自分の心のどこかが、カサついている時な気がする。ちょっとした潤いエッセンスをもらえた1冊です。「料理上手=暮らし上手」。最近私も思ってました。何を買うか考え、お店で買い、仕分けをして、料理をする。結構頭も使うし、段取りよくしないと時間だけがすぎていく。段取り八分だ、人生も。「嫌いなことや嫌なことは貯めることができて、いつでも、幸せなことを起こすために使える」。これを知れただけでも読んだ価値がありました。他にもいろんなナイスフレーズがたくさん。
読了日:09月28日 著者:松浦 弥太郎
盤上の向日葵盤上の向日葵感想
「将棋の話だよね。わからんやろ」と思って未読だった自分に喝!。563頁一気読みしちゃいました。序章の対局場面以降、殺人事件捜査の話と育児放棄された少年の話が、各章交互に出てきます。なので飽きない。少年の話はいろんなマイナス要素を背追いながらも、着実に進み大人になっていく。捜査話の時間軸はゆっくり進み、ラストに双方が重なっていく様は圧巻。tvドラマ(4回)になると聞き、どうしても柚月さんの「古臭くて泥臭い人間模様」の作風で読みたくて。正解でした。多少将棋の棋譜の話は出てきたものの、知らなくても十分OK。
読了日:09月30日 著者:柚月 裕子

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